同時多発テロの発生、狂牛病のグローバルな拡大、 史上最大のオゾンホールの出現等折り重なるようにして 世界をおそった事件群は、 21世紀の先行きをその第一ページから予断のならないものとしている。 欧米的価値観による世界の社会秩序回復も、市場主義経済における新しい展開も、効率化を中心とする地球環境修復事業も、 すべて見通しは明らかではない。

 この現状を鑑みると、従来大勢を 占めていた考え方に、何か肝心なものが欠けていたのではないかと思わざるをえない。 われわれは、その「何か」が、近代社会の原点であるHUMANISM(人間尊重主義)の伝統の中に あると考える。 環境問題は「人間環境問題」に他ならない。人間に実生活上の安心をもたらしてこそ の環境問題解決である。 経済も同じである。経済運営の失速は、つまるところ「市場の喪失」と同義 であるが、それは「人間を見る目」を 失ってしまったところに根本原因がある。 なぜならば「市場」 とは消費者・利用者という名称で呼ばれる「一群の人々」のことだからである。 健康的で安全な生活環境は、万人の願いであり、事業存続の条件でもある。

 いま、消費者は情報洪水 のなかで、誰が信用できるのか、いずれが安心への道なのか判断に苦しんでいる。 われわれは専門家 として手をさしのべ、情報整理の方法を示さなければならない。 これは、事業者の一般的利益とも合 致する。全体論的に見れば、消費者と事業者は有機的共存関係即ち共生の関係にある。 消費者のニー ズに応えることなくしては、生産者は存続し得ない。 事業者がいなければ、市民は商品・サービスを 手に入れることはできない。 だが、「共生」は相互的信頼関係なくしては成立しえないものである。

 市民にとっても事業者にとっても、失われた信頼関係を再構築することが、良い環境と安全と安心と 存続への道である。 市民は「理性」を身に付けなければならない。事業者には「誠実」と「謙虚」が求められる。

 「環境経営格付機構」は、徹底的に理性的な消費者・市民の立場に立って事業者のSINCERITYを要求する。 情報開示の必要性を強調し、市民と事業者の間の信頼回復と共生関係の構築につとめる。 数ある対象のなかから真に消費者が信頼できる事業者を選び出し、RECOMMENDATION-LISTとして公表する。 そのため「格付け」という親しみ易い方法にドグマを排除する工夫を加えて活用し、世界に向けて発信する。 「格」のベースは「正直さ」にある。 これが「環境経営格付機構」の、経済と文化を再構築し、地球環境を修復する道筋である。

 より多くの市民が参集して「知」の拡張をはかることを、そして多数の事業者が心をオープンにして事業の発展を企図することを、 その上で市民と事業者による持続可能な社会実現のための強固な同盟が締結され、ともに「学習」し、 ともにグリーンな環境と経済的安定を享受することを切に希望して、ここに環境経営格付機構(SMRI)の設立を宣言する。

2001年11月2日

環境経営学会会長代理 三田 和美
環境経営格付機構設立準備委員長 山本 良一
準備委員一同

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